退屈と平凡

何もない日々。変化のない時間。

無限ループのような日常で息をする。

嫌いになりそうな世界を私は愛そうとした。懸命に足掻いて、光を探して、生まれた意味を求めて。そんなものはないと知っていても、それでも目を逸らすために探して彷徨った。ただ息苦しさから逃れたくて。

水の中のような視界の悪さと動きにくさに溺れて世界の底へ落ちていく。

ふと、退屈と平凡が交わった。

時間がカチッと止まる。

何もない人生と目が合う。何も成し遂げてこなかった、空っぽの人生が私を見つめる。

「目をそらさないで」

現実から外れた世界の底で、人生と未来と挫折と絶望と自分と出会う。

無意味であったと受け入れろとそれらは言う。力強く私を見て真っ直ぐに。見透かされるような瞳に吸い込まれる。人生を現実をひとつひとつ振り返る。

華やかさの欠片もない、モノクロの人生を虚ろな瞳で見渡す。その目に希望はない。

苦労しかない私の道をあきらめて眺めることでは何も救われない。それでもよかった。何も救われなくてよい。

ただここで期待をせず静かに眠ろう・・・。

 

長い夢。のような気がした。息苦しい夢。

起きてしかれたままの布団と横の酒と乱雑な部屋に目をやった。誕生日明けとは思えない部屋にため息1つ。現実で誰も祝ってくれない。祝われたくもないけれど。

誕生日がおめでたいなんて誰が言ったのだろう。

「おめでとう」

こんなに似合わない人間がいるだろうか。私は祝われる筋合いがない。「誕生」なんて生き地獄のスタートだ。死に向かって歩くだけの無意味な恐怖を何十年も続けなければいけない苦しみの始まり。それに、例えば現時点で何かしら成功しているとか頑張っているとかそういう祝うにふさわしい人ならまだわかる。

でも私はなにもない。大げさでも被害妄想でもなんでもなく、本当に何もない。今まで頑張って生きてもこなかった、何か成し遂げもしなかった。

ただ家に居て、ただ無意味に生活をして、生命を無駄にして生きている。生きているだけ。人生を消費しているだけに過ぎない。

退屈と平凡だけの世界で私はどうやって生きたらよいかわからない。

全くわからない。虚ろな目で世界を呪って、だらだら息をすることしかできない。「やめたい」と思う。でもやめられない。そんな気力すら足りない。

誕生日なんてうれしくない。生命を呪う日だ。特別でもなんでもない。ただの時間の流れの1つ。節目でもない、いらない。こんな日はいらないんだ。こんな日さえなければ私は何も始まらなかった。幸福も不幸も希望も絶望も知らないままでいられた。知りたくなかった。生きているだけで吐き気に襲われるほど気持ちが悪い。

それでも生きてしまったものは仕方がない。身を任せてそれなりに諦めて楽しむしかない。楽しめていないけれど。こうしているうちにも時間は過ぎて現実に責め立てられる。

時の流れるのが怖いから目をつぶって知らない振りをしていたい。

永遠の退屈と平凡を私に。

どうか。