初恋

世界が終わる音がした。

私の舞台の終焉だ。

築き上げたすべてを捨てて悪戯のように人生に幕を下ろす。

アンコールには応えない。

 

まるでお遊びだ。人生を恨んで嘆いて、そうしてまた死を夢見る。

叶わない理想に焦がれる。

 

まるで恋だ。

 

恋をすると世界は輝く と言う。実際もそうなのだろう。甘くてキラキラした自分と相手と二人っきりの世界。夢のようで幸せな場所。

人生が舞台なら、恋は舞台の上のスポットライト。照らされた美しい場所。

息苦しくて湖の底のようなくらい人生で、自由に泳ぐ恋。恋だけは水の中で息ができる。ちっとも苦しくなんてない。

「死」は私の初恋。

君と出会ったとき、世界は明るくなった。輝いて天国みたいで。湖の底で私に酸素をくれた。

世間がどんなに許さなくても私は君が好き。君は裏切らないから。一途だから。どんなに暗い舞台でも、観客が一人もいなくても、君は私と舞台に上がってくれる。一緒に生きてくれる。最期までずっと一緒にいてくれる。

君となら未来だって描けるんだ。何があっても心配なんてない。だって君と一緒になれば幸せになれるから。どんな未来が待っていても、最後はハッピーエンドなんだ。

だから、君に少しでも近づきたくて舞台を終える振りをする。

君がいれば舞台が終わることだって怖くない。君と一緒ならなんだってできる気がするんだ。君と心中だって幸せだ。

ふりをするその瞬間君に出会えるその一瞬が嬉しくて愛しくてたまらない。

君となら息苦しい湖の底で自由に泳げる。君と二人で生まれ変わって魚になれる。

だから私は何度も君を求めて人生という長い道を彷徨う。

 

たとえ本当に一緒になって心中したとしてもそれはそれで良いんだ。

君となら舞台にあがり続けても、幕を下ろしてしまっても良い。

 

だって君を愛しているから。